リモートワーク成功の秘訣

リモートワーク環境におけるOJTの効果を高める実践的アプローチ

Tags: リモートワーク, OJT, 人材育成, コミュニケーション, チームワーク

リモートワークが普及する中で、新入社員の教育や既存社員のスキルアップにおけるOJT(On-the-Job Training)のあり方も変化しています。対面でのOJTに慣れている組織や個人にとって、リモート環境でのOJTは新たな課題を伴うことがあります。本記事では、リモートワーク環境においてOJTの効果を最大化するための実践的なアプローチについて、教える側と教えられる側の双方の視点から解説します。

リモートOJTで直面しがちな課題

従来の対面式OJTでは、隣で作業を見たり、すぐに質問したり、非公式な会話から多くの情報や雰囲気を掴むことが容易でした。しかし、リモートワーク環境では、このような偶発的な学びや密な連携が難しくなり、以下のような課題に直面することが多くあります。

これらの課題を克服し、リモートOJTを成功させるためには、意識的な工夫と実践的なアプローチが不可欠です。

リモートOJTの効果を高める実践的アプローチ:教える側(メンター/トレーナー)の視点

教える側は、リモート環境の特性を理解し、より計画的かつ意図的にOJTを進める必要があります。

1. 明確な目標と計画の共有

何を、なぜ学ぶのか、いつまでに、どのレベルを目指すのかを具体的に定義し、教えられる側と共有します。単なる作業の手順だけでなく、その作業の目的や全体像を伝えることで、教えられる側の理解を深めます。学習計画を共有ドキュメントなどで可視化し、いつでも参照できるようにしておくことも有効です。

2. 定期的な1on1の実施

毎日または週に複数回、短時間でも良いので定期的なWeb会議による1on1を実施します。ここでは、進捗確認だけでなく、業務に関する疑問点の解消、メンタル面のケアなど、教えられる側が抱える様々な懸念を解消する機会とします。気軽に話せる雰囲気作りが重要です。

3. 非同期ツールを活用した情報共有と質問対応

チャットツールや共有ドキュメントを積極的に活用します。よくある質問や基本的な情報はドキュメントにまとめ、いつでも参照できるようにします。チャットでの質問には迅速に、かつ丁寧に対応することを心がけます。緊急度に応じて、チャット、Web会議などコミュニケーション手段を使い分ける指示を明確にしておくことも有効です。

4. 「見せる」から「共有する/共に作業する」へのシフト

対面での「隣で見て学ぶ」を、画面共有や共同編集機能などを活用した「共に画面を見て作業する」「同じドキュメントを編集する」といった形に置き換えます。ペアプログラミングやモブプログラミングのように、複数のメンバーで一つのタスクに取り組むことも、技術習得とチームへの馴染みを促進します。

5. 積極的かつ具体的なフィードバックの提供

リモート環境では、褒める機会や改善点を伝える機会が減りがちです。意図的にフィードバックの機会を設け、具体的に良かった点、改善が期待される点を伝えます。フィードバックは、ポジティブな側面にも焦点を当て、教えられる側のモチベーション維持に繋げます。

リモートOJTの効果を高める実践的アプローチ:教えられる側(メンティー)の視点

教えられる側も、受け身ではなく積極的にOJTに関与することが、自身の成長とOJTの成功に不可欠です。

1. 積極的に質問する姿勢

疑問点があれば、躊躇せずに質問します。チャットで質問する場合は、背景や状況を簡潔に伝え、何が分からないのかを明確にします。テキストでの説明が難しい場合は、迷わずWeb会議をお願いするなど、状況に応じたコミュニケーション手段を選択します。質問することは、理解を深める上で非常に重要です。

2. 日々の進捗報告

指示されたタスクについて、完了したこと、進行中のこと、困っていることなどを定期的に報告します。簡単な日報や、プロジェクト管理ツールの活用などが有効です。進捗を共有することで、教える側は状況を把握しやすくなり、適切なサポートを提供できます。

3. 学んだことや疑問点を整理する習慣

OJTで学んだ新しい情報や手順、また疑問に思ったことなどを、自分自身の言葉でメモやドキュメントに整理します。これにより、情報の定着を促し、後から見返したり、再度質問したりする際に役立ちます。

4. オンラインツールを使いこなすスキル

Web会議ツール、チャットツール、共有ドキュメント、画面共有機能など、OJTで使用する基本的なオンラインツールの操作に慣れておくことが重要です。ツールの操作に時間を取られることなく、内容の理解に集中できるように準備しておきます。

5. フィードバックを求める姿勢と受け止め方

自分から「この部分について、何か改善点やアドバイスはありますか」のようにフィードバックを求めます。また、フィードバックを受け取った際には、感謝を伝え、感情的にならずに内容を冷静に受け止め、今後の行動に活かすよう努めます。

組織・チームとして支援すべきこと

個人の努力に加え、組織やチーム全体の支援もリモートOJTの成功には不可欠です。

まとめ

リモートワーク環境におけるOJTは、対面式とは異なる難しさを伴いますが、適切なアプローチと工夫によって、その効果を十分に高めることが可能です。教える側は計画性、コミュニケーションの工夫、ツールの活用を意識し、教えられる側は積極性、質問力、自己管理能力を発揮することが重要です。そして、組織全体として、心理的安全性の高い環境を整備し、必要なツールを提供することで、リモート環境下でもスムーズかつ効果的な人材育成を実現できるでしょう。